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GABA A受容体拮抗阻害性殺虫剤fipronilの毒性プロファイリング

「はじめに」fipronilは, 日本ではウンカ類, イネミズゾウムシ, ニカメイチュウおよびイナゴ類に対して登録を有し, プリンス粒剤や嵐プリンス箱粒剤の農薬原体として知られる水稲用殺虫剤である. その薬理作用はGABA A受容体の拮抗阻害であることから, マウス・ラット・ウサギ・イヌを用いた各種毒性試験において, 中枢神経毒性がしばしば認められるが, 発生・分化過程での中枢神経系に対しての毒性は認められていない. また神経細胞に加え, 肝細胞および甲状腺の濾胞細胞がfipronilの標的細胞として明らかにされており, 肝細胞では空胞変性が, 甲状腺濾胞細胞では肥大・過形成および腫瘍化が認め...

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Published in:Journal of Pesticide Science 2012-11, Vol.37 (4), p.349-361
Main Authors: 鈴木敦, 青木歩, 藤原雅実, 古藤修, 秋山仁子
Format: Article
Language:Japanese
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Description
Summary:「はじめに」fipronilは, 日本ではウンカ類, イネミズゾウムシ, ニカメイチュウおよびイナゴ類に対して登録を有し, プリンス粒剤や嵐プリンス箱粒剤の農薬原体として知られる水稲用殺虫剤である. その薬理作用はGABA A受容体の拮抗阻害であることから, マウス・ラット・ウサギ・イヌを用いた各種毒性試験において, 中枢神経毒性がしばしば認められるが, 発生・分化過程での中枢神経系に対しての毒性は認められていない. また神経細胞に加え, 肝細胞および甲状腺の濾胞細胞がfipronilの標的細胞として明らかにされており, 肝細胞では空胞変性が, 甲状腺濾胞細胞では肥大・過形成および腫瘍化が認められている. ただし, fipronilは遺伝毒性能を有さず, 甲状腺の腫瘍化はラットにのみ認められる. ラットは, 血中でのT4半減期に関与するThyroxin-bindingglobulin(TBG)を遺伝的に欠損しており, 肝臓での代謝亢進により血中のT4量が減少すると, フィードバック的に甲状腺刺激ホルモン(Thyroid gland-stimulating hormone:TSH)の分泌が亢進, その結果として甲状腺機能亢進・濾胞細胞の増殖・腫瘍化を起こす.
ISSN:1348-589X