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前内椎骨静脈叢に進展した上位頚椎神経鞘腫摘出における局所解剖に基づく止血法

はじめに:脊柱管の腹側に位置する前内椎骨静脈叢anterior internal vertebral venous plexus(AIVVP)は,上位頚椎で発達しており,ここに進展した神経鞘腫の摘出では大量出血をしばしば伴う.同部位の局所解剖に基づく有効な止血手技を示す.技術報告:後方進入した5例のC2神経鞘腫において,硬膜管腹側の腫瘍を摘出するとAIVVP破孔から高圧の静脈性出血があった.フィブリン糊を浸した破孔より広面積のゼラチンスポンジを破孔に被せ,面として圧迫することで止血を得た.結語:AIVVPは,古典的には真の硬膜外腔内で微細な管状静脈が集合した構造と解釈されていたが,近年,硬膜管...

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Published in:Journal of Spine Research 2024/07/20, Vol.15(7), pp.1048-1052
Main Authors: 清水, 曉, 望月, 崇弘, 三宅, 茂太, 隈部, 俊宏
Format: Article
Language:Japanese
Subjects:
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Description
Summary:はじめに:脊柱管の腹側に位置する前内椎骨静脈叢anterior internal vertebral venous plexus(AIVVP)は,上位頚椎で発達しており,ここに進展した神経鞘腫の摘出では大量出血をしばしば伴う.同部位の局所解剖に基づく有効な止血手技を示す.技術報告:後方進入した5例のC2神経鞘腫において,硬膜管腹側の腫瘍を摘出するとAIVVP破孔から高圧の静脈性出血があった.フィブリン糊を浸した破孔より広面積のゼラチンスポンジを破孔に被せ,面として圧迫することで止血を得た.結語:AIVVPは,古典的には真の硬膜外腔内で微細な管状静脈が集合した構造と解釈されていたが,近年,硬膜管の直腹側の2層から成る後縦靱帯間に存在する腔がAIVVPであることが明らかにされている.AIVVPは静脈“叢”とは呼称されるものの,頭蓋の静脈洞と同様に広大な“腔”であるとの認識が必要であり,止血操作においては破孔へのゼラチンスポンジ貼付が有効である.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2024-0711